地球規模での環境問題が顕在化した現在、カーボンリサイクルによる持続可能な開発目標(SDGs)の実現は、夢物語ではなく真に取り組むべき喫緊の課題です。
本セミナーでは、二酸化炭素を炭素資源と捉えた人工光合成による物質変換技術について、世界一流の講師陣による提言ならびに最新の成果についてご講演をいただきます。ぜひこの機会にご参加ください。

開催日時

2020年10月20日(火)13:00~17:00(聴講者入室:12:45~)

形態

Zoomを用いたWEBセミナー(Zoomウェビナー)
注)本セミナーでは録音・録画、PC画面の撮影、また配布しますセミナーテキストの複製・第三者への提供などの行為一切を固く禁じます。


プログラム

13:00~13:10

座長挨拶

東京理科大学 教授 寺島 千晶 氏

 
13:10〜14:05

光触媒の最近の動向とカーボンリサイクルへの挑戦

東京理科大学 元学長・栄誉教授、光触媒国際研究センター長 藤嶋 昭 氏

酸化チタンを用いる光触媒が各方面から注目されている。強い酸化力と超親水性効果を利用したセルフクリーニングが広く応用されているし、最近のコロナ問題では空気清浄機として用いられてきている。
また、炭酸ガスを還元してアルコールに変換する試みも注目されてきている。光触媒反応とダイヤモンド電極を用いる大型プロジェクトもスタートしている。

14:05〜15:00

質量クロマトグラム・赤外分光・広域X線吸収構造によるCO2光燃料化の反応経路の追跡

千葉大学 教授 泉 康雄 氏

再生可能エネルギー源を利用してCO2を燃料に変換できれば、持続可能社会でのカーボン・ニュートラル・サイクルを完成させることができる。そのため、CO2光燃料化の研究が世界中で行われているが、CO2の生成エンタルピーは負に大きいため、CO2を反応ガスとする反応が起こりにくく、別の反応と混同する場合もあることから、反応ガスのCO2から燃料までの反応経路を押さえることが肝要である。
最近の研究動向では13CO2を反応ガスとして用い、天然中に99%の比で存在する12Cではなく、濃縮した13Cを含む生成物を質量スペクトルにより検出することで反応経路を推測する研究が多い。さらに13Cを含む生成物に関するm/z値(mは質量、zは価数)についてのガスクロマトグラフ–質量分析での質量クロマトグラムをみれば13CO2からの反応経路は少し確からしくなる。そこで講演者らはオンラインで反応ガス中各m/zの質量クロマトグラムの経時変化をモニターすることで13CO2から反応経路を直接追跡した。
金属酸化物半導体と金属ナノ粒子とを組み合わせることで、CO2光燃料化用の触媒を開発したところ、銀–酸化ジルコニウムが有効であることが分かった。生成物は実質的に全てCOガスで、その生成速度は0.57 μmolh−1gcat−1で、ZrO2のみを用いたときの3.9倍となった。さらに、メタンを選択的に320 μmol h−1gcat−1で安定して生成する光触媒も見出した。探索した反応経路において、どの段階がどのように活性化されているのか、フーリエ変換赤外分光および広域X線吸収微細構造により裏付ける研究も進めている。

15:00〜15:10

休 憩

15:10〜16:05

光触媒による気相二酸化炭素の資源化 (録画)

東京工業大学 教授 宮内 雅浩 氏

植物と同様に人工光合成は水を電子源としたアップヒル反応で、光エネルギーによって水素やC1化合物などの資源を生み出す。しかしながら、二酸化炭素を資源化する場合、水へのバブリングや炭酸塩を溶解しなければならないなどの制約があった。
一方、気相の二酸化炭素を資源化できる魅力的な反応として、メタンのドライリフォーミング(DRM)が以前から知られている。この反応はシェールガスに含まれる資源豊富なメタンと二酸化炭素から一酸化炭素と水素の混合ガスを生成することができるアップヒル反応である(CH4 + CO2 → 2CO + 2H2)。この反応で得られる混合ガスは合成ガスと呼ばれ、アルコールやガソリン、化学製品の原料となるため、DRM反応は天然ガスの有効利用ならびに地球温暖化抑止のために注目されている。
しかし、この反応は大きな吸熱を伴うため(ΔH298K = 247 kJ/mol)、700℃以上の加熱が必要であった。また、DRM反応では炭素析出(コーキング)による触媒の劣化も課題であった。本研究では、光エネルギーの投入により、低温かつ長期間安定にDRM反応を進めることができる新規な光触媒について報告する。

16:05〜17:00

経済合理性のある人工光合成技術を目指して

産業技術総合研究所 首席研究員 佐山 和弘 氏

世界の太陽電池の価格は徐々に低下しているが,単純な水電解装置等との既存技術の組み合わせでは経済性が成立しないことは簡単なコスト試算を行えば明白であり,従来の延長に無い革新技術が求められている。サンベルト地帯の安価な太陽光発電と協調しながら,革新的な人工光合成技術の経済合理性を追求する手段はあるであろうか。天然の光合成では燃料の他にも人類に役立つ多様な物質を作り出している。例えば,食料や繊維,医薬品,工業原料などの有用物である。燃料よりも付加価値の大きな有用化学品を効率よく直接製造できれば,経済合理性も成り立つ可能性がある。当チームではそのような概念を「Solar Chemicals」や「Power-to-X’」と呼んでいる。
本セミナーでは,最近の我々の成果として,湿式塗布焼成で作成する多孔質酸化物光電極を用いて,水から水素だけでなく,過酸化水素や次亜塩素酸,過硫酸,有機物等の様々な有用化学品を生成し,実用性と経済性を高める技術に関しての成果を紹介する。また、鉄イオンなどのレドックス媒体を用いた光触媒―電解ハイブリッドシステムによる経済性のある水素製造に関しても紹介する。



受講料・申込方法ほか

受講料 ¥26,400(税込)
---複数名申込割引---
同一企業から複数名でお申込みいただいた場合、
2人目以降の方の受講料を半額(税込13,200円)にいたします。
<3人以上の場合> 備考欄に受講される方の「お名前」「ご所属先」「E-mailアドレス」をご記入ください。
配布資料 10月19日(月)夕方に順次メールにてお知らせします。
※ Zoom招待案内メールの中に配布資料のダウンロードURLを記述いたしますので、そちらよりダウンロードをお願い致します。
※ 配布資料は公開可能な範囲となります。また、資料は複製・コピー、第三者への開示・提供を固く禁じます。
申込・支払方法 下部にあります、お申込みフォームよりお申込み下さい。
受付が完了しましたら自動返信メールが届きますので内容をご確認ください。
<お支払いについて>
後日、決済用URLを記載した請求書(クレジット用)をお送りします。お支払いは10月19日(月)までにお願いいたします。

<セミナーへの参加について>
ZOOM接続テストを10月20日(火)11:00~11:20に行います。
※ 接続確認が終了いたしましたら退出をしていただき、12:45より同様の手順により入室をお願い致します。
領収書発行 領収書が必要の場合は、備考欄にご記入ください。
申込締切 10月19日(月)正午 
お問合せ (株)オプトロニクス社 担当:加納・三島
Tel:(03)3269-3550 E-mail:seminar@optronics.co.jp


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