開催日

バイオフォトニクスの最前線~生体イメージング・バイオセンシングの新展開~
2022年7月20日(水)

カーボンニュートラル社会実現に貢献する青色レーザー加工-精密レーザークラッディング-
2022年7月21日(木)

主催

バイオフォトニクスの最前線~生体イメージング・バイオセンシングの新展開~
(公社)応用物理学会フォトニクス分科会 / 株式会社オプトロニクス社

カーボンニュートラル社会実現に貢献する青色レーザー加工-精密レーザークラッディング-
レーザー学会技術専門委員会「社会実装に向けた次世代レーザー表層加工技術」分科会「公衆衛生に着目した、安心・安全なまちづくり」 / 株式会社オプトロニクス社
【協賛】
溶接学会高エネルギービーム加工研究委員会/スマートプロセス学会レーザプロセス部会/レーザ加工学会
【後援】
レーザプラットフォーム協議会

会場

マイドームおおさか 3F展示ホールE内特設会場

参加料

聴講無料

プログラム

バイオフォトニクスの最前線~生体イメージング・バイオセンシングの新展開~
7月20日(水)

13:00~13:40

広帯域超短パルスファイバレーザー光源を用いた生体イメージング~生体の第3の窓を用いた生体深部観測~

名古屋大学 西澤 典彦 氏

光コヒーレンストモグラフィー(OCT)は,広帯域光を用いた干渉計測によって,umオーダーの高分解能な断層イメージを非侵襲・非破壊で得ることのできる光計測手法であり,医用工学の分野を中心に注目を集めている.OCTでは,光源のスペクトル幅が広いほど,高い分解能を得ることができる.また,光の侵入を妨げる主要因である散乱と吸収は波長に依存するため,光源の開発は重要である.我々は,超短パルスファイバレーザーをベースとした広帯域なスーパーコンティニューム光を複数の波長帯で生成し,それを用いて高分解能かつ高感度なOCTイメージングの研究を進めてきた.
最近,水の吸収の極小があり,散乱の小さい波長1.7um帯が,『生体の第3の窓』と呼ばれ,深部イメージングの視点から注目を集めている.これまでに我々は,波長1.7 um帯において,マウス脳の深部のイメージングや,光コヒーレンス顕微鏡(OCM)による神経組織や脳内血管のイメージングに成功した.また,最近,波長1.7 um帯における深部2光子蛍光イメージングにも成功した.
本講演では広帯域ファイバレーザー光源とOCT・OCM,そして生体イメージングの波長依存性等について,基礎から最近の成果までを概説する.

13:50~14:30

コンピュテーショナル3次元蛍光イメージング

神戸大学 的場 修 氏

生きた生物での生命機能を知るためには、3次元的に分布する多くの細胞活動を同時に観察する必要があるため、高速な3次元イメージング技術の開発が求められている。従来は位相検出により細胞の形状情報のみが得られていたが、近年様々な蛍光タンパク質が開発され、蛍光を介して多様な生命活動を観察できるようになっている。
本講演では、光技術と計算機技術を融合させたコンピュテーショナル3次元蛍光イメージング技術を紹介する。特に、ディジタルホログラフィー、強度輸送方程式、ライトフィールドの3つの手法を紹介し、それぞれの利点と欠点を述べる。また、蛍光と位相の同時3次元イメージング技術についても紹介する。これにより、細胞などの形状情報と細胞核の活動情報を同時に観察でき、多角的な情報を得ることができる。最後に、生体深部観察に向けた散乱透視イメージング技術について紹介する。
3次元蛍光イメージングの現状
コンピュテーショナル3次元蛍光イメージングの原理
ディジタルホログラフィーによる3次元蛍光イメージング
強度輸送方程式による3次元蛍光イメージング
ライトフィールド3次元蛍光イメージング
蛍光と位相の同時イメージング
生体深部観察に向けた散乱透視イメージング

14:40~15:20

光コムのバイオセンシング応用

徳島大学 安井 武史 氏

2005年ノーベル物理学賞に繋がった光周波数コム(光コム)は、「光周波数の物差し」として、分光計測や距離計測において、革新的な進展をもたらした。一方で、光コムの極限的光源としての特徴は、「光周波数の物差し」に留まるとは思えず、未だ十分には開拓されていない高いポテンシャルが潜在していると考えられる。我々は、新たな応用を開拓するため、光コムの新奇特徴に着眼した光計測手法の開発を行っている。
本稿では、光コムの『光/電気周波数変換』に基づいたバイオセンシング応用に関する研究成果を紹介する。


カーボンニュートラル社会実現に貢献する青色レーザー加工-精密レーザークラッディング-
7月21日(木)

13:00~13:25

青色半導体レーザーを用いた精密クラッディング(仮)

大阪大学 塚本 雅裕 氏

2050年温室効果ガスの排出を実質ゼロ、すなわちカーボンニュートラル(脱炭素社会)が提唱され、それに向けた取り組みが推し進められている中で自動車産業ではCO2排出を抑えることができる電気自動車の開発・普及があげられる。電気自動車の開発においてコアとなっているのは小型高性能モーター、小型大容量バッテリーおよび高耐久性パワーデバイスであり、これらを製造するために必要な加工技術は、純銅の溶接、精密クラッディングおよびアディティブマニュファクチャリング(AM)技術となる。銅に対し、高い光吸収率を有する可視光域の波長は400nm~550nmである。近赤外線レーザーの波長域では吸収率が10%以下と低いため、本レーザーによる銅の加工は困難である。しかしながら、500 nm帯以下になると急激に光の吸収率は増加し、波長400 nm帯では吸収率が60%に達する。そこで、我々のグループでは、発振波長が450 nmの高輝度青色半導体レーザーの開発および加工技術として精密クラッディング技術開発を推進した。
本講演では、はじめに純銅の精密クラッディング技術開発に必要な高輝度青色半導体レーザー開発について紹介する。さらに、純銅の精密クラッディングを実現するために開発した高輝度青色半導体レーザー搭載マルチビーム式LMD(Laser Metal Deposition)装置を紹介する。最後に、本装置による純銅の精密クラッディングによって形成された部材について紹介する。

13:25~13:50

カーボンニュートラル社会実現に貢献する青色半導体レーザ開発

(株)島津製作所 石垣 直也 氏

2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略が策定され、自動車産業においては電気自動車の開発・普及が進められている。電気自動車の普及拡大にはモータやリチウムイオン電池、パワーモジュールなど主要部品の性能向上、小型軽量化が必要不可欠であり、そのためには電気伝導性、熱伝導性に優れた純銅材の高速・高品質な溶接が求められている。これを実現するための技術として近年、銅に対し高い吸収率を有する青色半導体レーザを用いた高輝度・高出力光源が注目されている。
島津製作所では青色半導体レーザに対して独自のコンバイニング技術を用いて高輝度・高出力化を実現した。本講演では、開発したレーザの技術紹介と、純銅材をはじめとした金属加工への応用事例について紹介する。

13:50~14:15

高輝度青色半導体レーザマルチビームクラッディングシステムを用いた純銅皮膜の高速形成技術の開発

大阪富士工業(株)森本 健斗 氏

銅は細菌に対して殺菌・抗菌作用、ウイルスに対しては不活化作用を有する。銅を人が触れる手すりやドアノブなどに使用することで細菌・ウイルスによるリスクを低減させることができる。電気自動車等の普及により、銅の需要が高まっている。そのため、銅が必要な部分のみにコーティングできる技術が求められている。金属積層造形法の一つであるレーザークラッディングに着目した。レーザークラッディングはレーザーを熱源として基板を溶融し、形成された溶融池にワイヤー及び粉末等の溶材を投入することで皮膜を形成する方法である。従来レーザークラッディングでは1本のレーザーで基板を溶融する為、溶融池の熱量で粉末を溶融する必要があった。
一方、我々の開発したマルチビームクラッディングシステムでは複数本のレーザーを用いることで、飛行中の粉末を均一に加熱することができ、基板への入熱量を抑えて皮膜の形成が可能となった。しかしながら,本方法での皮膜形成速度は10 mm/s以下であり、産業的にはより高速な皮膜形成が求められる。本研究では皮膜の高速形成の為に、最大レーザー出力100 Wの高輝度青色半導体レーザーを3台用いたマルチビーム加工ヘッドを開発した。本加工ヘッドを用いたとき、粉末が飛行中にレーザーに加熱される距離(加熱距離)のモデル式を導出し,粉末の温度分布を明らかにした。純銅皮膜の高速形成のためのレーザークラッディング条件の設定を行った。

14:15~14:40

精密レーザークラッディングシステム「ALPION」による精密レーザークラッディングとその使用事例

(株)村谷機械製作所 左今 佑 氏

金属積層造形技術の一つある指向エネルギー堆積法(Direct Energy Deposition)またはレーザー粉体肉盛法(Laser Metal Deposition)と呼ばれる手法は,レーザーを用いて基板表面に溶融池を形成し、そこに金属粉末やワイヤー等で材料を供給しながら、溶融凝固させて堆積する手法である。基材形状に制約が少なく、密着性が高いため、積層造形だけでなく金型補修や肉盛溶接、表面処理など幅広く応用展開が期待されている。しかし、現行の技術は表面の凹凸が大きく、周囲の熱拡散による基材成分との希釈や歪みが無視できない。また、装置も高価であることから、その利用は限定的である。
弊社ではこれらの問題に対応し、造形面に垂直に原料粉末を噴射供給するとともに、斜め方向から6本のレーザー光で粉末を加熱・溶融することで、低希釈・低歪みでの加工を可能とする「直噴型マルチビーム式LMD」の開発を行っている。
本講演では「直噴型マルチビーム式LMD」を搭載した精密レーザークラッディングシステム「ALPION」について紹介するとともに、装置製造の観点から精密レーザークラッディングを実現するために必要な仕組み、要素について概説する。 また、精密レーザークラッディングの用途について、本装置の使用事例を交え紹介する。

14:40~15:05

SDGsを実現するブルーレーザクラッディングの社会実装がもたらす近未来のファクトリーオートメーションへの可能性

ジェービーエムエンジニアリング(株) 前田 弥生 氏

持続可能な社会実現に、様々な制約を取り除き、資源やエネルギーの消費削減に繋げ、形状自由度を増すことで創り手・使い手相互の心を豊かにするデライトデザイン(設計)を実現するAMが製造業界におけるSDGsの切り札になると考えています。
切削に重点を置くデザイン・製品設計からのマインド転換と同時に実プロセスは大きく変化し、原材料や加工・成型、ロジスティックスに波及すると考えられます。個別プロセスの単なる連結を見直すことで生まれる化学反応に期待も出来ます。私たちはその一端を担う製造工程にレーザクラッディング技術を組み込むことで生まれる新たなファクトリーオートメーション構想を通じて持続可能な社会構築に寄与出来ると考えています。
とりわけ純銅の積層を可能にするブルーレーザのポテンシャルは無視できません。自動車はEV化が進んでいますが、電装系部品の素材である銅は高価な有限資産です。航空機部品の耐熱合金なども同様で、加工難易度も高くなります。形状を選ばず必要な部位に必要最小限の材料を用いるAMは多くの難局を打開できるキーになります。また、銅にはウイルスを不活化する強い抗菌作用があり、未知のウイルスから私達の生命・財産を守り安心安全な社会環境の構築に大きく貢献します。有限資産である銅を他の基材に薄膜コーティング出来るブルーレーザによるAM技術はサステナブルな社会実現の大きな立役者となるに違いありません。多くの方々にAM及びブルーレーザについて知って頂ければと思います。

15:05~15:30

高精度レーザークラッディングの実用化

石川県工業試験場 舟田 義則 氏

レーザークラッディング技術は,製品の表面処理や補修,金属積層造形としての利用が期待されています。石川県工業試験場では,従来に比べてより微細で高精度な加工を可能とするマルチビー式レーザークラッディング装置や,銅の加工を可能とする青色半導体レーザー発振器を搭載したクラッディング装置を整備し,現在,多くの企業の方にご利用いただいております。
レーザークラッディングは,必要な部分に必要な材料を必要な量だけ付加することで,その価値を大幅に向上させるマルチマテリアル製品の製造に有効な技術だと考えることができ,希少資源の節約などに繋がります。同時に,従来に比べてスポット径が小さな高輝度レーザーを用いることでエネルギー効率が向上し,製造プロセスの省エネ化が図られます。
そこで,本講演では,高精度レーザークラッディングによる樹脂モールド用精密金型の再生事例や,治工具の耐久性向上のための表面硬化処理事例,特殊工業用刃物の製造工程簡略化のための積層造形事例などを紹介します,そして,これら精密レーザークラッディング技術の適用が,産業界でもその取り組みが強く求められているSDG’sの達成やカーボンニュートラルの実現に対して,どのように貢献できるのかを解説します。


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